タイ人が日本人になる時代

昨夜は店番だった。でも夫もバイトの子もいたので、私は働かないで来店してくれた友人達と飲んでいた。「夫の兄が日本国籍を取ったんですよ」と言うと「じゃあ、名前はどうなったんだ」とその友人が言った。兄の名前はカタカナでそのまま表記しても違和感ないようなものだから「そのまんまだと思う」と言うと「いや、日本の名前をつけているはずだ」と言い張る。その間に夫が電話をかけていた。私に代わったので「名前どうしたんですか」と言うと「朔太郎の朔にしました」と言う。実は電話を代わる前にふと朔が浮かんできたのだから笑いそうになった。いい名前だなあ、私も名前変えたいなあ。苗字は妻のにしたそうだ。「1年がかりだったんですって?」と聞くと「2年かかったよ。自分でやったからねー。弁護士を頼めば半年くらいかなー。田舎から書類取り寄せるのが時間かかった。翻訳も自分で全部やってね」「いろいろ調査されるの?」「家族とか仕事とか、これまでの経緯とかいろいろ」「仕事はどう?元気でやってますか?」と聞くと「毎週外国だよ、昨日戻ったばっかり、またすぐに行く」「子供は?」「高校生だからねえ、僕は東京の近くにアパート借りて週末だけ家に戻っているから楽になった、遊びに来てよ、部屋空いてるから」とのことだった。元気そうで何より。

タイ人が日本国籍を取る時代になったのだ、というのはびっくりである。しかもこの事態は結構進んでいるらしく、つい最近、帰化用の書類の翻訳を頼まれた。私としてはびっくりであるが、80年代から定着してきたことを考えればあり得ることだ。兄の場合は翻訳も自分でやったそうだし、それはできる人なのだが、そうじゃない人だって日本人になっているわけだ。識字率100%はすでにないと私は思っているが、ますます下がるかも。底辺ではいろいろな事が進んでいて水面の表面部分はいろいろな事が進んでいないフリで乗り切ろうとしている。今日、映画を見ている間に友人から電話が入っていたから何かと思ったら「お宅の店にいる時にMに水道料のことで電話がかかってきたけど『M、わかんなあーい』って言っていて相手の日本人が困っているみたいだったから話してやったんだけど…」という報告だった。お手数かけて申し訳なかったことを詫びつつ、なんで私が詫びなくちゃならんのだ、とも思う。すぐに夫に電話して「Mは、日本に永住するって言っているけど、だったら水道代のことくらい分かるようにしとかないとダメでしょ。一体どうすんのよ、あんなんで。全くタイ人は安易なんだから!!」と怒鳴ってやった。「その通り」と認める夫。Mは日本人の夫を亡くし、多分遺族年金で暮らしていくのだ、周囲に頼りながら。助け合いはいいけど、自分自身がちゃんとすべきことはあるでしょう、と言いかけてやめておく。小さい時から家族は離散、学校もろくに行けない、その家族には金をせびられて今日まできている。「お父さん(夫)死んだからタイに帰りたいって言ったら、お母さんが帰るなって言うんだよおお」と泣いている。ま、どこまで本当か分からないのもタイ人であるが…。彼女も何年か後に日本人になるかもしれない。
by kienlen | 2009-02-25 21:55 | タイ人・外国人 | Comments(0)

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